目的地も分からず、走り出してしまうことってありますよね。私もそうでした。
「早く副業したくて応募したけど、レギュレーション見たら難しそうだぞ…?」という人もいるのではないでしょうか。
応募要項にはたいてい「骨子に従って記事を書いていただくだけです!」なんてありますけど、それだけじゃ本当に自分にも書けるのか判断できません。
「とりあえずルールを確認しておこう」と書籍や検索サイトで調べてみれば、「SEOとは…」のような難しい記事ばかり…。
覚えなきゃいけないことが多すぎ!もっと簡単に説明してほしい
そこでこの記事では構成案をもらってからの作業を、準備・執筆・チェックの3段階に分けて、それぞれ注意する項目について解説します。
記事を書く前に確認しておくこと
「KWをもらった!さあ書くぞ~」といきなり本文を書き出してはいませんか?やる気にまかせてロケットスタートを決めてしまうと、後から修正がえらいことになってしまいます。
まずはクライアントさんからもらった資料のうち、以下4点の確認が必要です。
- トンマナ
- ペルソナ
- 記事のゴール
- レギュレーション
上記4点は記事の道しるべです。分かっていないと記事の方向性が迷子になってしまうので、しっかり読み込んでおきましょう。
トンマナ
トンマナとは『トーン&マナー』のことです。Webライティングにおけるトンマナとは、ひとことで言えば『文章の雰囲気』です。
少し崩して面白おかしく書かれていたり、丁寧で知的な言い回しが多かったり、ネット上の記事を読んでいるとさまざまなタイプの記事に出会います。
- 文末が『ですます調』か『である調』か
- 『ですよね』等語りかけ語尾の可否
- 記号『!』『?』の使用頻度や『♡』『♪』等特殊記号の使用
どんなトンマナで書けばいいのか確認するため、まずは下記3点に注目してクライアントサイトの記事を読んでみましょう。
だいたい2~3記事読めばOKです。レギュレーションでも確認できる部分ですが、実際に掲載されている記事を読んだ方が感覚レベルで理解できます。
私は忘れっぽいので、依頼間隔が長いクライアントのサイトはたびたび見にいってます
ペルソナ
ペルソナとは『細かく設定した記事の読者像』のこと。
年齢・性別・どんな悩みを持ち何に興味があるのかはもちろん、年収・居住地・家族構成といったところまで、まるで実在する誰かをモデルにするように細かく設定します。
ペルソナを把握するのは、より共感をえられる記事にするためです。
同じ商品を紹介するのだとしても、ペルソナによって、訴求ポイント=商品に興味を持ってもらうための売り込み方、が変わります。
例えばとても寝心地のいいマットレスを紹介するとしましょう。
ペルソナが『スポーツなどで体を酷使している20代男性』なら、「適度な反発力が鍛えた体をしっかり支え、効率よく疲労を回復させられる」という方向からおすすめすると興味を持ってもらえそうです。
しかし『腰の痛みに悩む70代女性』がペルソナなら、「体圧を分散して腰への負担を軽減するから、翌日は朝から家事がはかどる」とおすすめした方が商品のよさが伝わります。
お悩み解決系記事も、ペルソナに寄り添った表現にするとクライアントからの評価がアップします
記事のゴール
ゴールとは記事の目的のこと。記事を読んだ人にどういう行動をしてほしいか、どういう気持ちになってほしいかを設定したものです。
受け取った構成案の各見出しは、このゴールに向かって作られています。そのためライターも同じゴールにたどり着くように肉付けしていきます。
ゴールがどちらへ向かっていても、ライターは設定された通りに書くのみです
レギュレーション(さらっと)
レギュレーションとは、そのメディアのトンマナや表記を統一させるための決まり事です。
- ディスクリプションの要不要と文字数
- リード文の要不要と文字数
- 見出しごとの文字数
- 体言止めの可否など
ここを確認しておかないと、余分な文字数を書いて時間を無駄にしてしまったり、文字数が足りなくて追加に苦労したりします。
なお、見出しごとの文字数が指定されていないことも珍しくありません。その場合は全体の文字数を見出し数で割って、それぞれに必要な文字数を割り当てます。
表記ルールは最後に確認することになるので、記事を書く前はさらっと見ておくだけでOKです。
表やリストを使うかどうかなど、大まかなところだけチェックしておくと後の工程が楽になります
記事を書くときに気をつけること
Webライター初心者が受ける仕事は、大多数がSEO記事といわれる集客用の記事です。
「SEO?何それ、難しそう…」 聞いたことのない横文字?が出てきたら、誰だって「これは手に負えないかも…」と尻込みしますよね。
SEOとはSearch Engine Optimizationの省略。
日本語では検索エンジン最適化という意味で、SEO対策とは「検索エンジンに評価してもらって、上位に表示させよう」という施策です。
でも始めたばかりのときは難しいことを考えなくて大丈夫。
SEOの大部分は構成を作る人が対応してくれているので、ライターは下記の8点に気をつけて本文を書いていきましょう。
ペルソナに合わせた文体にする
ペルソナに合わせるとは、「トンマナ」を遵守することです。
初心者向けSEO記事の大半は、専門知識を持たない一般の人たちが対象。読者層がとても広いため、クライアントからは中学生でもすらすら読めるような文章で書くことが好まれます。
しかし、専門性の高い業務経験がある人だと、最初から企業向けの案件を受けることもあるかもしれません。
ペルソナが専門知識を持った相手の場合は、専門用語やその業界独特の表現を使った方が信頼性が高まります。
人によって異なるとは思いますが、一般的に難易度高めなのは専門知識の必要な企業案件です。
期待される読者層がどれくらいの知識を持っているかで、表現方法が違ってきます。記事を書くときは、常にペルソナを意識しておきましょう。
企業向けの案件はB to B(Business to Business)と書かれています。何も書かれていなければ、たいていはB to C(Business to Customer)です。
正しい情報を引用する
Web上に公開された記事は、年齢も性別も育った環境もさまざまな、多くの人の目に触れることになります。
もしその記事に間違った情報が載っていて、それを信じてしまう人がいたら大変ですよね。
だから記事に載せる情報は、原則として正確なものでなければいけないんです。
提出した記事は校正者や編集者によって、厳しくファクトチェック=それが事実であるかどうかの確認をされます。
そのためデータや情報を集めるときは、1次ソースと言われる情報源を参照するのがベストです。
- 官公庁のHP
- 企業や医療機関のサイト
- プロフィールが明白な専門家のサイト
検索すると個人ブログもたくさん出てくるので、運営元をしっかり確認しましょう。
書籍を参考にできるかどうかはクライアントによります。
電子書籍には誰にでも出版できるものもあるので、やはりこちらも発行元と著者の情報確認が必須です
一文一義にする
一文一義とは、1つの文章で1つのことだけを伝えることです。Web記事の文章の中でも特にSEO記事は、分かりやすい文章が好まれます。
一例として、下記の文章を読んでみてください。
Webライターの仕事はペルソナの検索意図に添って記事を書くことですが、ペルソナは大きく分けて2タイプが考えられ、一般的な読者層には簡単に理解できる文章を、専門知識を持つ読者層には専門的な文章を書くべきです。
なんとなく読みづらいですよね。一文一義に直してみましょう
Webライターの仕事はペルソナの検索意図に添って記事を書くことです。ペルソナは大きく分けて、一般的な読者層と専門知識を持つ読者層の2タイプが考えられます。一般的な人へは簡単に理解できる文章を、専門家には専門的な文章を書くべきです。
このように適切な場所で句点を打ってあげた方が、ぐっと理解しやすくなります。
1文が60文字を超えていたら少し長いので、直す方法はないか考えてみるといいかもしれません。
指示代名詞を多用しない
指示代名詞とは『これ』『それ』『あれ』のような、前に出てきた言葉を指し示す言葉のこと。例えばレシピを説明するとき、下記A・Bのどちらが親切でしょうか。
- A:手順①で作ったあれをボウルに戻します。
- B:手順①で作ったピーマンをボウルに戻します。
ちょっと極端な例でしたが、つまり指示代名詞ではなくきちんと名称を書いた方が分かりやすいということです。
ただ指示代名詞を全く使わないせいで、くどい文章になってしまうこともあります。連続で名称を出すようなときは、ほどよい割合で指示代名詞を使いましょう。
検索エンジンは代名詞を理解できないため、SEO的にも好ましくないとされています
接続詞を多用しない
多用しない方がいいのは主に、『だから』や『そして』など順接の接続詞や、『さて』『ところで』など転換の接続詞です。例文を見てみましょう。
冬は空気が乾燥するため肌の水分も失われがち。だから冬場になると肌のカサつきに悩む人も増えるでしょう。
順接の接続詞『だから』を抜いても意味が通じますね
こうした役割の接続詞は、抜いてしまってもたいてい文章に影響はありません。無駄な接続詞を省いた方が、文章全体が洗練されて見えるでしょう。
なお、柔らかい印象を目指すサイトやブログでは、文体や雰囲気を考えて意図的に削ってもよい接続詞を使うこともあります。
お仕事のライティングでも、サイトやブログの雰囲気に合わせるといいかもしれませんね。
箇条書きや改行で読みやすく
説明する内容によっては、箇条書きや表を使った方が読みやすい文章になります。情報を羅列した文章と、箇条書きを使った文章を比べてみましょう。
シソベーゼのレシピに使用する材料は、青ジソ30枚とにんにくチューブ5cm、ミックスナッツを50g、塩コショウ少々にオリーブオイル50mlです。手順は…
何がどれだけ必要なのかわかりにくいですね…
これをリストを使って整理してみます。
シソベーゼのレシピを紹介します。
【材料】
- 青ジソ…30枚
- にんにく…チューブ5cm
- ミックスナッツ…50g
- 塩コショウ…お好みで
- オリーブオイル…50ml
仲間ごとにまとめてあげると、内容をつかみやすくなりますね!
また、活字を読み慣れていない人だと、隙間なく詰まった文章を見ただけで読む気をなくしてしまいます。
目安として70~80文字くらいで改行するように心がけましょう。
主観を避ける
SEO記事では信頼性が重要視されるため、個人的な見解を入れないのが原則です。
主観が入ると、同じことを書いても印象が全く違ってしまうんです。
A:合わない枕を使っていると、普通に考えて寝違えやすくなると思います。
B:合わない枕を使っていると、寝姿勢が悪くなり寝違えやすくなります。
Aの読者の中には、「そうとも限らないでしょ」と思う人もいるかもしれません。
そこでBのように、リサーチをもとに客観的に書き換えてみると、Aよりはるかに説得力が増します。
SEO記事では、しっかりした根拠を提示して言い切り型を使用しましょう。
一般的にそうだろうと思われる推測は、「~と考えられています」など語尾を少しぼかします
最上級表現を避ける
最上級表現とは『世界一』『唯一』『最高』といった言葉のことです。なぜ使ってはいけないのかというと、それが事実とは限らないからです。
『世界最高の技術を用いて作られた機能性チェア』と書くなら、絶対にその技術が世界最高である根拠を示さないといけません。
また、時代と共に事実が変化してしまうこともあります。かつて日本一高い建築物だった東京タワーは、今はその座をスカイツリーに譲ってしまいました。
最上級表現にはインパクトがありますが、何かを紹介するような記事では使用を避けましょう。
「富士山は日本一高い」など、事実であることが確実である場合は最上級表現を使います
自分の言葉で書く
情報を集めるためにいろいろなサイトを訪れてリサーチすると思いますが、参考サイトを見ながら記事を書くのはおすすめしません。似たり寄ったりな記事になりがちだからです。
オリジナリティーを持たせるには、多方面から情報を集めて理解したものを、自分の中にある言葉を使って書き出していくしかありません。
なお、KWを本文の前の方に散りばめた方がいいと言われることもありますが、近年ではGoogleが記事の内容を理解する精度が上がってきており、自然な範囲で入れればOKというメディアが増えています。
このあたりはクライアントの意向に合わせましょう
提出する前に確認すること
「記事が書けた~。はい、納品!」というわけにはいきません。推敲しているライターとしていないライターは、記事の品質が月とすっぽんです。
「1回読み直せば気づくはず…」というとんでもないミスをしてしまうと、チェックを担当した人は迷いなくそのライターさんに低評価をつけるでしょう。
仕事がなくなったら困る!提出前には次の4点の確認が必須です
文字数
依頼される記事には決められた文字数があります。
「3,000文字で書いてください」と言われることもあれば、「3,000~4,000文字でお願いします」と言われることもあるでしょう。
この場合は両方とも3,000~4,000文字の範囲内に収めます。3,000文字を切っても4,000文字をオーバーしてもいけません。
『決められた文字数+300文字』を目安にするとよいでしょう。
クライアントから具体的な指定があればその通りにしてくださいね
コピペ率
コピペとはコピー&ペーストのこと。コピペ率とは、「この記事はWeb上にある記事にそっくり!」と判断された割合のことです。
コピペ率を調べるツールはいくつかありますが、中でも『CopyContentDetector』が使いやすいと思います。
記事全文をコピペしてチェックをスタート。結果が『要注意』や『コピーの疑い』になったら、『詳細表示』で内容を確認して修正しましょう。
文字数の少ない記事ほど、コピペしていなくてもコピペ率が高くなりやすい傾向にあります
レギュレーション(しっかり)
記事を書く前にさらっと確認したレギュレーションを、今度は表記をメインにしっかり確認しましょう。
レギュレーションが守れることは基本中の基本です。これができていなければ次のお仕事はもらえません。
多くのメディアには独自の表記ルールがあるので、自分の書いた言葉の全てがそのルールに沿っているか照らし合わせていきます。
漢字の開き・数字4桁以上のカンマ使用有無・単位の表記・文字装飾など、一つずつ慎重に見ていきましょう。
表記に迷う部分は、共同通信社の『記者ハンドブック』に準じた表記を使用しているところが多いですよ
誤字脱字
誤字脱字のチェックは、まず便利ツールを使って確認。無料ツールでは「Enno」が有名です。仕事量が増えてきたら、誤用や表記ルールまで細かくチェックできる有料ツールも検討するといいかもしれません。
仕上げにプレビュー画面にして、イチ読者としての立場で全体を見直しましょう。画面が変わると意外な間違いに気づくことがあります。
間違い探しをするときのように「絶対どこかが違うはず」という意識で見直すといいですよ
Webライター初心者はこれだけ押さえておけば大丈夫
最初から完璧をめざそうとすると、覚えなければいけないことが多すぎていやになってしまいます。
まずは基本的なところをマスターするところから始めましょう。
レギュレーションのしっかりしたところで30記事くらい書けば、無意識に全部の作業ができるようになるはずです。
もちろん私とは違う仕事の進め方や考え方の人もいます。
たくさんの仕事をこなして、自分のやりやすい方法を見つけてくださいね。